7日に東京都渋谷区の将棋会館で指された第38期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局を制した佐々木勇気八段(31)が、前期に続く挑戦権を獲得した。前期は藤井聡太竜王(23)に2勝4敗で敗れた悔しさを胸に、佐々木八段はどう戦うのか――。
空腹の中で戦う試みも
「2番手グループにいたい」と以前から語っていた佐々木八段。「藤井さんとの実力差は相変わらずかなりありますし、挑戦者争いも安定しては加われていない。今回も運よく挑戦できた」とこの1年間を振り返り、常に挑戦争いに加わるという自身の目標には届いていないと厳しく自己分析した。
前期七番勝負は「中終盤の力が足りなかったので、藤井竜王を秒読みに追い込むことができなかった。第7局まで行けなかったのは残念だった」と振り返り、「今期は第7局に行けたらいいですけれど、かなり厳しいと思います」とフルセットを目標に掲げた。
対局中に食べる「勝負メシ」をがっつり食べるのが特徴の佐々木八段だが、この日の夕食はヨーグルトとバナナという軽めのメニュー。真意を問われると、「空腹の中で戦ってみようという試みです」と明かした。
だが、七番勝負ではしっかり食べる従来のスタイルで臨む考えで、「(前期第1局の)セルリアンタワー東急ホテルの力うどんはおいしかったので、またあったらぜひ食べたい」と旺盛な食欲をのぞかせた。
見えない藤井竜王の研究範囲
4~6月の名人戦七番勝負第1局では副立会を務め、藤井竜王の将棋を間近で見つめた。「藤井さんは自分の研究範囲であっても時間を使って考えるので、どこまでが研究範囲か分かりにくい。研究が本当に深いし、どこまでが研究なのか分からなくなっている」と藤井竜王の底知れぬ強さに驚きを隠さない。
後手番の2手目に8四歩しか指してこなかった藤井竜王は、最近のタイトル戦では3四歩も選ぶようになり、「2手目3四歩の可能性があるというだけでも、それ用の対策も考えないといけなくなるので大変にはなります」と事前研究の大変さも口にした。
2日後の9日には、将棋日本シリーズJTプロ公式戦で藤井竜王と対戦する。「(挑戦を決めて)今はうれしい気持ちなので強気のコメントをしそうですけれど、あさっての対戦でまた現実を突きつけられることになると思う。(日本シリーズは)早指しなんですが、そこでの対戦を終えて戦い方を考えたい」と語り“前哨戦”を踏まえて七番勝負に向けた作戦を練る考えだ。【丸山進】
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