九州地方に停滞する前線の影響で、九州南部は8日未明から記録的な大雨となった。気象庁は8日午前1時過ぎと午前5時前、鹿児島県に線状降水帯が発生したと発表し、同県霧島市に大雨特別警報を出して最大限の警戒を呼び掛けている。霧島市や同県姶良市などでは市街地が広範囲で浸水。県は霧島市に災害救助法を適用したと発表した。
姶良市消防本部によると、8日午前4時45分ごろ、姶良市蒲生町の民家から「家の中に閉じ込められている」と119番があった。消防が女性2人を救出し、病院に搬送。いずれも意識はあるという。民家は大雨で倒壊したとみられる。
また、鹿児島県によると、県内で複数の家屋が倒壊しているとの情報があり、確認を急いでいる。鹿児島市内や薩摩川内市でも民家の浸水被害の報告がある。
霧島市の「県民の森」のキャンプ場では周辺の道路が落石や崩落で寸断し、子ども24人を含む40人が孤立状態となっている。体調不良の人やけが人がいるとの情報はないという。
気象庁と国土交通省は8日午前に記者会見を開き、浸水や土砂災害に最大限の警戒を呼び掛けた。
霧島市では8日午前8時までの24時間雨量が515ミリに上った。1カ月雨量(8月平均)の1・6倍以上で、同地点では観測史上最大になった。
霧島市周辺の大雨の状況は8日昼過ぎにいったん落ち着く見込みだが、9日までに警報級の大雨となる可能性が高いという。
9日午前6時までの24時間で予想される雨量は、いずれも多いところで、九州南部200ミリ▽九州北部120ミリ▽北海道、東北、関東甲信、北陸80ミリ▽近畿70ミリ▽中国50ミリ。
今後も数日間、九州や日本海側に前線が停滞する見通しで、九州南部・北部や中国地方では10~11日に警報級の大雨が予想される。
豪雨の影響で、交通にも影響が出ている。鹿児島の発着便など、日本航空(JAL)は41便(午前8時現在)、全日空(ANA)は4便(同9時現在)の欠航を決めた。【高芝菜穂子、田崎春菜、宮城裕也】
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