昨秋の兵庫県知事選で選挙運動の報酬をPR会社に支払ったとして、公職選挙法違反(買収)の疑いで書類送検された斎藤元彦知事に対し、神戸地検が任意で事情聴取していたことが関係者への取材で判明した。地検の聴取に知事は容疑を否認したとみられる。地検は刑事責任を問うか慎重に判断する。
兵庫県西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」の女性社長は知事選投開票後の2024年11月20日、斎藤氏の広報全般を任されたとインターネット上に投稿。斎藤氏陣営の交流サイト(SNS)の運営について「私が監修者」と発信していた。
公選法は選挙運動者への金銭や物品の提供に加え、それらを受け取ることを禁じている。知事選告示後の同年11月4日に斎藤氏側からメルチュに支払われた71万5000円は選挙運動の対価で報酬に当たるとして、大学教授らが刑事告発。兵庫県警は今年6月、斎藤氏を公選法の買収容疑で、社長を被買収容疑でそれぞれ書類送検していた。県警は処分意見は明らかにしていない。
斎藤氏側はこれまで、陣営がPR会社に支払った代金は、公選法で支出が認められた選挙運動用ポスターやチラシの製作費だと説明。社長はあくまでボランティアとしてSNS運用に携わっており、違法性はなく買収には当たらないと主張していた。
斎藤氏は8日午前、報道各社の取材に「捜査に関することなので、これまで同様にコメントを控える」と話した。【柴山雄太、稲生陽】
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