大川原化工機をめぐる冤罪(えんざい)事件で、警視庁は7日、捜査の指揮系統に問題があったとする検証報告書を公表しました。警視庁トップの迫田裕治警視総監は「深くおわびする」などと記者会見で謝罪しました。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「大川原化工機冤罪事件で警視総監が謝罪」を解説します。
Q 大川原化工機の冤罪事件って聞いたよ。どんな事件だったの?
A 大川原化工機は、横浜市にある化学機械を作る会社です。軍事転用できる機械を不正輸出した疑いで、社長ら3人が2020年3月に外為法違反(不正輸出)で逮捕・起訴されましたが、約1年4カ月後の初公判4日前に起訴が取り消されました。
Q 警視庁の捜査にはどんな問題があったの?
A 捜査を担当した公安部で、捜査の指揮や監督がうまくいかず、組織として捜査の基本が守られていなかったことが検証報告書で明らかになりました。
Q 警察は逮捕された人たちには謝罪したの?
A 警視庁のトップである迫田裕治警視総監が「(大川原側に)多大なご心労、ご負担をおかけしたことを深くおわびする」と記者会見で謝罪しました。警視総監が会見で謝罪するのはとても珍しいことです。
Q 捜査に関わった人たちはどうなったの?
A 捜査に関わった警視庁公安部の幹部ら19人が「処分」されました。退職した人もさかのぼって処分相当とされ、特に中心だった2人は減給の懲戒処分相当となりました。
Q 報告書にはなんて書いてあったの?
A 警視庁公安部は経済産業省の輸出規制省令を巡り独自の解釈をしていました。報告書は、経産省がその解釈に否定的だったことに触れ、もっと慎重に立件するかどうかを検討するべきだったと指摘しました。また、「実質的な捜査指揮が不在だった」とも結論付けました。
Q 起訴したのは検察でしょ?
A 最高検察庁(最高検)は「消極証拠の確認が不十分だった」と認めましたが、主任検事らは処分されず、口頭での指導にとどまりました。
Q 保釈が認められずに亡くなった人がいたの?
A 大川原化工機の元顧問は、起訴後も検察が反対したために保釈が認められず、病気で亡くなりました。最高検は「保釈請求にあえて反対しないなど柔軟な対応をとることが相当だった。深く反省しなければならない」としています。
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