日本の国際共著論文、約3割が中国と執筆 米国に迫る勢い

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日本の国際共著論文に占める米国と中国の割合 拡大
日本の国際共著論文に占める米国と中国の割合

 日本の研究機関が関わった自然科学系の国際共著論文のうち、中国との共著論文の割合が約3割を占めて過去最高となり、米国との共著の割合に迫っていることが、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が8日に公表した調査結果で明らかになった。日本に留学する中国人大学院生の数も増えており、日本の科学研究における中国の存在感が高まっている。

 2023年に公開された日本の国際共著論文3万311本のうち、相手国の割合は米国が32・2%で1位、2位の中国は29・9%だった。米国とは臨床医学、中国とは工学の分野の割合が特に高かった。1980年代前半には米国が全体の6割程度を占めていたが、その後は下落が続く。一方で中国は02年に初めて10%台に乗せ、米国に迫る勢いでシェアを伸ばしている。

 背景にあるのは論文数にみられる中国の科学技術の進展だ。21~23年は年平均約66万本と世界最多で、かつては水をあけられていた米国の約39万本を大きく突き放す。日本は約9万本で7位だった。引用数の多い、注目度の高い論文数も中国が最多だった。

 NISTEPによると、日本に留学する中国人大学院生の増加も、日中の共同研究が増えている要因の一つと考えられる。直近の約10年で約1万5000人増え、24年度には約4万人に達した。続くインドネシア、韓国・朝鮮の約2200人と比べても突出して多い。

 一方で米国の国際共著論文における中国の割合は、ピークだった19年の29%から23年には24・4%に減少した。第1次トランプ政権以降に中国を切り離す政策が進められた影響もあるとみられる。

 NISTEPの担当者は「今後トランプ政権の影響で、米国にいる日本人留学生や研究者の数が減ったり、科学予算削減で米国の論文数自体が減ったりするかもしれない。日米の共著論文が減り、近い将来に日本の共著論文に占める米国と中国の割合が逆転する可能性もある」と話している。

 日本の研究者が関わった論文のうち、国際共著論文は21~23年の平均は36・2%(平均年3万2582本)。10年前と比べて7・7ポイント増加している。【信田真由美】

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