
トランプ米政権が本格発動した「相互関税」。日本は6~7日に行われた日米閣僚協議で、日米間で合意したはずの負担軽減措置の適用を求め、米国も応じる姿勢を見せたが、解決するにはなお時間がかかる。混乱の原因を巡って、日本政府内では、名作絵本「ぐりとぐら」にちなむ愛称がつけられたある米閣僚の存在がささやかれている。
<主な内容>
・赤沢氏に「すごんだ」強硬派
・交渉の照準、「ラトちゃん」に
・喜び一転、戦術変更が裏目?
・先行き読めず
「(関税交渉の)3回目あたりで、『(日本が)関税下げないなら会わないぞ』みたいな閣僚が出てきた」
赤沢亮正経済再生担当相は7月29日のユーチューブチャンネル「魚屋のおっチャンネル」の番組に出演した際、相互関税や自動車関税など「トランプ関税」を巡る日米閣僚協議で、ある人物からすごまれたことを明かした。
日米協議で赤沢氏と交渉した閣僚は3人いた。赤沢氏は名前を伏せたが、政府関係者によると、この人物は、グリア通商代表部(USTR)代表だ。
グリア氏は、第1次トランプ政権で、日米貿易交渉を担ったライトハイザー元USTR代表の側近で、貿易保護主義の強硬派としても知られる。赤沢氏は、米国の残る2閣僚であるベッセント財務長官を「ベッちゃん」、ラトニック商務長官を「ラトちゃん」と親しみを込めて呼ぶ。グリア氏は、グラス駐日大使と親しいことから、2人に「ぐりとぐら」と愛称をつけている。
突きつけられたのは
そんなかわいらしい愛称とは裏腹に、グリア氏は一貫して日本との交渉で厳しい態度を取り続けてきた。政府関係者によると、グリア氏は「関税引き下げがないディールなんておかしい」として、米国の農産品などの関税引き下げをかたくなに要求。対日貿易赤字の主因である日本の自動車輸出についても「日本は輸出を減らすしかない」とまで突きつけてきたという。
「ぐりとぐら」のもう一人であるグラス氏は、グリア氏に呼応するかのように、米国産米の輸出に意欲を示す発信を繰り返し、日本の農業市場の開放を迫った。
交渉の照準、「ラトちゃん」に
グリア氏を相手にしてもらちが明かないと判断した赤沢氏ら交渉チームは、4回目の訪米以降は、グリア氏を…
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