
政府が8日閣議了解した2026年度予算の概算要求基準で、各省庁が一定程度の経費削減をすればそれを超えて予算要求できるとするこれまで採用してきたルールをやめた。長引く物価高で削減ありきの予算編成が難しくなったためだが、予算要求が膨らみやすいリスクもある。英語で天井を意味する「シーリング」とも呼ばれてきた概算要求基準の形骸化が進んだ形だ。
「人件費の高騰や資材価格の高騰の中、10%削減が各省庁の予算編成に大きな制約になっているという認識だ。これを今回、外す」。4日開かれた自民党の政調全体会合で財務省の担当者が説明した。
今回やめた概算要求のルールは、各省庁の判断で予算を増減できる「裁量的経費」を1割削減すれば、その3倍までを「特別枠」として要望できるというもの。26年度は経費削減の条件を削る一方で、25年度予算額の2割増まで要望できるようにした。
裁量的経費として要求できる総額は据え置くものの、経費削減に踏み込む必要がない分、要求省庁側のハードルは低くなる。シーリングの機能低下を懸念する声も根強い。
日本の予算編成は長年、経費削減を前提にしてきた歴史がある。…
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