松原隆一郎・評 『アメリカの新右翼 トランプを生み出した思想家たち』=井上弘貴・著

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 (新潮選書・1705円)

欧米で噴出する動き 日本では?

 7月の参院選では非自民で「保守」を訴える政党が躍進した。ながらく非差別やグローバリズムが目指すべき理念とされてきたが、「日本人ファースト」が選挙民を惹(ひ)きつけたのだ。本音が噴き出したとも言えるが、欧米ではどうなのか。

 第二次トランプ政権は「関税」ばかりが注目されるが、背景にはアメリカにおける右派進歩主義の台頭がある。トランプ大統領は就任式でジェンダーを生物学的な男女に限定すると宣言、政府によるDEI(多様性)プログラムを廃止した。本書はアメリカの急激な右旋回につき、多様な人物を通じて素描している。

 1990年代、アメリカでは冷戦に打ち勝った古典的自由主義(リベラル・デモクラシー)が盤石であるかに思われた。建国以来、共和党と民主党に共有された理念だが、左右からの攻撃が始まった。

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