第107回全国高校野球選手権大会第5日は9日、1回戦を行い、静岡県代表の聖隷クリストファーは第2試合で明秀日立(茨城)に5-1で快勝し、春夏通じて初めての甲子園で初勝利を挙げた。2回戦は大会第10日第2試合で西日本短大付(福岡)と対戦する。【藤倉聡子、長岡健太郎】
味方が先制して迎えた一回裏、エース左腕・高部陸(2年)の初球はまさかの死球。143キロの直球がすっぽ抜けた。「それも想定内だった」と捕手の武智遙士(3年)が振り返る。1学年下の高部が不安を感じないよう、「楽しんでやろう」と声を掛け続けると決めていた。
犠打と内野ゴロで2死三塁。ピンチはバッテリーの見せ場となった。明秀日立の4番・野上士耀(3年)は、最も注目していた打者。「僕の得意球を狙ってくるはず。そこをかわして仕留める」と高部も腕をぶしていた。スピードのあるカットボールを2球振らせて追い込み、最後は高め145キロの直球で空振り三振。これでリズムをつかんだ。
大きく曲がるカーブを大胆に織り交ぜ、打者をバッテリーペースに巻き込む。失策絡みの1失点はあったが、八回までわずか2安打。九回2死一、三塁も、最後の打者を中飛に打ち取り切り抜けた。
聖隷クリストファーが掲げる「頭とハートを使う野球」に憧れて入学したという武智。「根拠を持って投手をリードし、抑える楽しみを知った」という。武智を信頼し、「ミットだけ見て投げる」という高部を1失点完投に導き、「しっかり投げ切れた」とうれしそうに汗を拭った。
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