
ロシアのウクライナ侵攻を巡って、トランプ米大統領が15日にプーチン露大統領と会談することになった。米露首脳会談によって戦争が終結へ向かうかは見通せない。
ウクライナでは7月末~8月初めに、露軍による無人航空機(ドローン)やミサイルの激しい攻撃があり、首都キーウ(キエフ)で数十人の市民が犠牲となったばかりだ。
現地に滞在する写真家の尾崎孝史さんが取材手記を寄せた。
高層住宅をミサイルが直撃
7月30日、汚職関連法を巡る抗議デモを撮影するため、キーウに滞在していた。深夜、無人機が旋回する音に続き、爆発音が響いた。最初の1発は午後11時27分。その後、日をまたいで約1時間、爆撃は続いた。
翌日の午前4時半ごろ、再び大きな爆発音が聞こえた。BBCウクライナによると、ロシア空軍はこの日、無人攻撃機シャヘド309機と巡航ミサイル8発を発射した。一方、ウクライナ軍は288機の無人機と3発の巡航ミサイルを撃墜していた。
撃墜できなかった巡航ミサイル5発のうちの1発が、キーウ市スビャトシンスキー地区の高層住宅に着弾したという。
現場はキーウ中心部の西側を南北に走る幹線道路M07号線のすぐ内側だった。10棟ほどのアパートの間に中小の公園、各種学校やスーパーマーケットが並んでいる。
犠牲者の最年少は2歳
規制線の前に多くの住民とメディア関係者がいた。100メートルほど先にある横長のアパートの北端部分が完全に崩れ落ちている。巡航ミサイルは5階のあたりに直撃したそうだ。ほこりが舞う現場で安全帯を着用した救急隊員が住民の救出作業を続けている。
8月1日、このアパートで亡くなった住民は28人だと発表された。犠牲者の中には5人の子供が含まれ、最年少は2歳だった。
ウクライナ空手連盟は、6歳で亡くなったマトベイ・マルチェンコ君の写真を公開した。爆撃の2時間後に救出されたものの、病院へ向かう救急車の中で息を引き取ったという。
地元メディア「24チャンネル」は、武道教室「日本拳法ウクライナ」に在籍していたビタリー・ラボシュチュクさんと娘のブラダさんも亡くなったと伝えた。
放心状態の高齢女性
ここから東へ2・5キロのソロミャンスキー地区でも大きな被害が出ていた。路面電車が走る通りから住宅街に入っていくと、ミサイルが直撃した5階建てのアパートがあった。建物の中央部分が天井からVの字に破壊されている。ここを中心に40棟の建物が被害を受けたという。
高齢の女性、イナサ・ヨバさん(81)が放心した様子で…
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