消えぬ苦しみ話せる場に 自死遺族が思い分かち合う傾聴会開催 広島

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米山容子さん=広島市西区で2025年5月14日午前11時26分、井村陸撮影 拡大
米山容子さん=広島市西区で2025年5月14日午前11時26分、井村陸撮影

広島市・NPO法人「小さな一歩・ネットワークひろしま」代表理事 米山容子さん(66)

 自死遺族が思いを分かち合えるNPO法人「小さな一歩・ネットワークひろしま」を設立し、傾聴会や無料電話相談などを開催している。

 2011年6月、長女の歩美さん(当時25歳)が自ら命を絶った。当時、歩美さんが仕事で悩みを抱えていたのは知っていたが、「死を選択するほど深く悩んでいたとは気付かなかった。もう少し親身に話を聞いていれば良かった」と、ふさぎ込む日々が続いた。

 娘を失った心の苦しみは、周囲に明かせなかった。話してもきっと理解してもらえないと思ったからだ。しばらくして、すがるような思いで自死遺族の会に顔を出した。同じように自死で家族を失った人たちが集っており、親身になって話を聞いてもらって少しずつ前を向けるようになっていった。

 亡くなって1年が経過したころ、同じ思いで苦しんでいる人のために、自分にもできることがあるのではないかと考えるようになる。仕事の傍ら、専門的な知識を身につけるため社会福祉士の資格を取得した。13年に自死遺族が思いを分かち合うことができる団体を設立し、のちにNPO法人にした。

25歳で亡くなった歩美さん(右)=広島市西区で2025年5月14日午前11時30分、井村陸撮影 拡大
25歳で亡くなった歩美さん(右)=広島市西区で2025年5月14日午前11時30分、井村陸撮影

 広島市西区にある事務所の傾聴スペースでは、2カ月に1度、自死遺族を対象にした傾聴会を開いている。また、自死遺族でなくても悩みを抱えている人を対象に、無料の電話相談を受け付けている。事務所に行けば、スタッフらと気軽に話すこともできる。利用者からは「夫を自死で亡くし生きる気力が失っている」「パワハラを受けてしんどい」などの悩みが寄せられている。「この会があって救われた」という声も多い。

 「親子で買い物に行ったりレストランに行ったり、普通の生活をしていたんだろうな」。亡くなってから14年がたっても、娘のことを思い出さない日はない。「自死遺族は、亡くした家族のことを毎日考えて苦しい日々を過ごしている。今後もさまざまな境遇の方が、自分の思いを話せる場を提供していきたい」と語る。

 傾聴スペースの開放日は月~金曜日午前10時~午後5時、土~日曜日午後1~5時。第2、4土曜日は休み。2カ月に1度の自死遺族の傾聴会の時は利用できない。【井村陸】

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