第107回全国高校野球選手権大会は第6日の11日、2回戦があり、春夏通じて初出場の豊橋中央(愛知)は日大三(西東京)と対戦する。
豊橋中央の注目ポイントは、グラウンド上だけでなく校歌にもある。
校歌のタイトルは「星の旅人」。フォークロックのリズムで、「豊橋中央高校 マイハート」という歌詞がある。
愛知大会では勝利を重ねる中、選手たちが熱唱する姿が交流サイト(SNS)で話題を呼んだ。
豊橋中央は1924年に愛知和洋裁縫女学校として設立され、57年に豊橋女子高校と名前を変えた。97年に現在の校名に改称し、普通科進学クラスを男女共学化した。
学校によると、この校歌は共学化に向けた中で新たに作られたという。
作詞作曲をした一人が、かねとうかずさん(70)。愛知県豊橋市を中心に活動するシンガー・ソングライターだ。
同校の近くで育ったというかねとうさんは学校から依頼を受け、「学校の周りは小さい時からの遊び場で、(自分にとっての)原風景があった」と引き受けた。
「マイハート」は、一番入れたかったフレーズだという。
校歌の歌詞は、最初に作ったものはマイハートを含めて半分が英語にしていたといい、最終的に今の形になった。
ハートには愛情や友情という意味が込められているとして「人間関係がどんどん希薄化していく中、ハートが一番大事なんだということを伝えたかった。そうした思いを持って3年間を過ごしてほしい」と歌詞の最後に持ってきた。
かねとうさんは今夏の愛知大会のテレビ中継を見ていたところ、「星の旅人」が流れてきて、豊橋中央の快進撃を知った。
作詞作曲に携わってから30年近くが経過して大きく注目され、驚きつつも選手たちが歌う光景に心を打たれた。
「あれでもらい泣きしました。最後のマイハートを叫ぶのを見たら、もう何も言うことがない。ハートを熱くしてもらっている。あれで十分です」
初出場の球児へ「優勝するまで頑張ってほしい」とエールを送る。
校歌は二回の攻撃時に流れるが、選手による斉唱は勝った時だけ。甲子園で初勝利を挙げ、選手たちが歌う姿を心待ちにしている。【高橋広之】
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