英国の著名な料理サイトがローマの伝統的なパスタのレシピを紹介したところ、地元のレストラン団体が「材料が違う」として駐イタリア英国大使らに抗議文を送るなど、思わぬ騒動となった。複数の英メディアが10日までに報じた。イタリア人のパスタに対するこだわりの強さが改めて浮き彫りになった形だ。
問題となったパスタは「カチョエペペ」。チーズ(イタリア語で「カチョ」)とこしょう(同「ペペ」)だけをあえたシンプルなメニューで、ローマ帝国時代に羊飼いが考案したとされる。
報道によると、英サイト「グッドフード」が約3カ月前にカチョエペペのレシピをアップし、材料を「スパゲティ、こしょう、パルメザンチーズ、バター」と紹介した。
これに対し、イタリアのレストラン団体「フィエペト・コンフェセルチェンティ」は今月初め、カチョエペペの材料は三つでバターは入れないなどと指摘して、サイトの運営会社とエドワード・ルウェリン英大使あてに抗議文を送った。チーズもパルメザンチーズではなく、羊乳が原料のペコリーノチーズを使うのが正当だとしている。
抗議文を書いた同団体ローマ・ラツィオ支部代表のクラウディオ・ピカ氏は、高名なサイトにおけるレシピの“改変”に「とても驚いた」と言い、「それはまるで英国で、最高級のダブルモルトウイスキーをレモネードで割ってほしいと要求するようなものだ」と話しているという。
グッド・フードは抗議を受け、材料の記載を修正した。公式インスタグラムには冗談めかした動画を投稿。「カチョエペペにバターを入れ、国際問題を引き起こした」との文章に続いて、編集長の男性が自分の荷物を入れた箱を持ち、半泣きで「ごめんなさい」と言いながら職場を去るような様子が映っている。【ロンドン福永方人】
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