地震で大破のみこし、復活し帰還 再び巡行へ 姫路の名工修復 石川

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黒島地区の公民館で開かれたみこしの修復完成を祝う神事=石川県輪島市門前町黒島町で2025年7月31日午前10時6分、幸長由子撮影 拡大
黒島地区の公民館で開かれたみこしの修復完成を祝う神事=石川県輪島市門前町黒島町で2025年7月31日午前10時6分、幸長由子撮影

 能登半島地震で大破し、兵庫県姫路市で大工が修復していたみこしがほぼ1年ぶりに石川県輪島市門前町の黒島地区に戻った。7月31日に地区の公民館で修復完成を祝う式典「神輿(みこし)復興祭」があり、8月17、18日に地震後初めて本格的に開かれる「黒島天領祭」で巡行する。【幸長由子、岩本一希】

 みこしは江戸中期に寄進されたもので、地区にある若宮八幡神社で毎年8月17、18日に開かれる黒島天領祭で町内を巡回していた。2024年元日の地震で蔵の下敷きになり、原形をとどめないほどバラバラになってしまった。

みこしを前に固い握手を交わす福田喜次さん(左)と氏子総代長の林賢一さん=石川県輪島市で2025年7月31日午前11時7分、岩本一希撮影 拡大
みこしを前に固い握手を交わす福田喜次さん(左)と氏子総代長の林賢一さん=石川県輪島市で2025年7月31日午前11時7分、岩本一希撮影

 24年6月、姫路市のボランティア団体「黒島支援隊」を通じてみこしのことを知った姫路市木場の大工、福田喜次さん(73)が修復を始めた。同市の祭りで地区を練り歩くきらびやかな屋台製作を手掛け、「現代の名工」にも選ばれた。みこしの修復では約8カ月かけて部材をつなげ、欠けた部分は新たに補った。

 神輿復興祭には、地元住民や福田さん、黒島支援隊のメンバーが参列。仮設住宅に入る住民らも駆けつけた。黒島区区長の川井隆三さん(69)は「みこしを見ると、みんな元気になる」と表情を和らげた。神事の後、航海の安全を祈り、祝いの席や祭りで演奏される「天領太鼓」が披露され、祝いの席を盛り上げた。

氏子総代長を約20年務めていたという小松与一さんも神輿復興祭に駆けつけた。みこしを触って元通りの姿を喜んでいた=石川県輪島市で2025年7月31日午前10時57分、岩本一希撮影 拡大
氏子総代長を約20年務めていたという小松与一さんも神輿復興祭に駆けつけた。みこしを触って元通りの姿を喜んでいた=石川県輪島市で2025年7月31日午前10時57分、岩本一希撮影

 福田さんは「責任を果たせてやれやれやな」とほっとした様子。「祭り文化が途切れないよう協力でき、よかった。黒島は第二の故郷のような気持ちです」と話した。

 地区に住む小松誠三さん(81)は「壊れた状態を見たときには、直るのかなと心配していたが、どこを直したかほとんど分からないくらいの仕上がり。これで、本当の祭りができる」と感謝した。氏子総代長の林賢一さん(77)は「地震をきっかけにできた姫路との縁が今後も続いてほしい」と願っていた。

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