日本航空(JAL)のジャンボ機が群馬県上野村の山中に墜落し、乗客乗員520人が犠牲になった事故から12日で40年を迎えた。遺族らは朝から、墜落現場の「御巣鷹(おすたか)の尾根」に向かった。
尾根は標高1500メートル超。遺族らは山道を登り、斜面に点在する墓標や犠牲者を追悼する「昇魂之碑(しょうこんのひ)」に手を合わせた。犠牲者を追悼し、空の安全を祈願した。
奈良県御所市の田仲威幸(たけゆき)さん(75)は妹一家の墓標に手を合わせた。妹の吉田仁美さん(当時28歳)とその夫哲雄さん(同35歳)、娘有紗ちゃん(同3カ月)は大阪の実家に帰る途中、事故機に乗ったとみられる。
事故の2週間前、哲雄さんは出張の機会を利用して奈良まで足を運び、田仲さんを訪ねてくれたという。田仲さんは「あの時の笑顔が忘れられない。妹たちには、俺は元気だから心配するなと伝えたい」と話した。
静岡県長泉町の会社員、石倉亮助さん(54)は父六郎さん(当時41歳)の慰霊に親族ら15人で訪れた。この30年間、慰霊登山で親戚が尾根に集うことが恒例になっているという。墓標には父が好きだったたばこと花を供えた。「(親戚たちの)子どもの成長を感じる場になっている。これからもできる限り登りたい」と語った。
事故で亡くなった宝塚歌劇団出身の北原遥子(本名・吉田由美子)さん(当時24歳)と同期で、俳優の黒木瞳さんはこの日、初めて慰霊登山に訪れた。昇魂之碑に手を合わせ、「安全の鐘」を鳴らした。
12日夜には尾根のふもとにある「慰霊の園」で追悼慰霊式が営まれる。11日夜は、ふもとを流れる神流(かんな)川で鎮魂の灯籠(とうろう)流しが行われ、灯籠が川面に浮かべられた。【木村敦彦、加藤栄、福田智沙】
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