(金の星社・1320円)
戦争の理不尽さ、伝える責任
第二次世界大戦中の上野動物園でやむなく殺処分された象たちの悲しい実話を描いた「かわいそうなぞう」。戦争の理不尽さを子供たちに伝える作品として、戦後80年の今もなお読み継がれている。作者の土家由岐雄さん(1904~99年)の娘で、作品に込められた平和へのメッセージを世界各国で伝えている、だいくす朋子さんに思いを聞いた。【猪狩淳一】
空襲が激化する中、上野動物園では、猛獣が逃げ出して人間に危害を加えることを恐れ、殺処分されることになるが、賢く人懐っこかった3頭の象は、食料に毒を混ぜても食べないため、餓死させることになる。「かわいそうなぞう」は、衰弱していく象たちを、飼育員たちは見守ることしかできなかった……という物語だ。
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