福岡の土地買収、5倍増額のやり取り生々しく 入手の内部資料に

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福岡県が土地評価の委託業者に送った「単価シミュレーション」の一部。「希望単価」が記載されている=福岡市博多区で2025年8月4日、金澤稔撮影
福岡県が土地評価の委託業者に送った「単価シミュレーション」の一部。「希望単価」が記載されている=福岡市博多区で2025年8月4日、金澤稔撮影

 430万円↓578万円↓2165万円――。道路整備に必要な事業用地の買収を巡り、福岡県が当初算定した適正価格から増額を繰り返し、最終的に約5倍の高値で取得していた問題。内部資料には、県が地権者の希望に沿うように用地補償を増額していく交渉過程が、生々しいやりとりと共に記録されていた。

※同時公開のスクープ記事あります
福岡県、適正価格の5倍で土地買収 地権者の団体幹部にそんたくか

 毎日新聞が入手した「用地交渉記録簿」などによると、福岡県は国からの交付金を得て、県内の行橋市と添田町を結ぶ主要地方道「行橋添田線」(県道、総距離約33キロ)の整備を進めている。県道は同県赤村の山林(計2505平方メートル)の中央部分にトンネルを掘って整備する計画だ。このため、県の出先機関である県田川県土整備事務所は2024年10月16日、山林を所有する部落解放同盟福岡県連副委員長の男性(75)と本格的な買収交渉を始めた。

 「坪単価5685円、総額約430万円」。県事務所は、男性が20年以上前に半額の坪単価約2600円で土地を取得していたことを踏まえて補償額を算定し、書面で提示。だが、思いも寄らぬ反応が返ってきた。

 男性「県は残酷だな。こんな金額で土地を買い上げようとする」

 県事務所「提示価格は十分なものと考えている」

 男性「坪2万~3万円が相場と聞いている」「自分の土地だったらと思って考えてほしい」

 公金で賄われる用地補償は厳密に算定される。福岡県は、地権者との交渉を業者に委託した際の手順を定めた「用地補償総合技術業務共通仕様書」の中で「補償額は、客観的ルールに基づいて算定されることから、権利者に不満があっても交渉などにより増額などが認められるものではない」と明記している。

 しかし、県事務所は今回、異例の増額を繰り返した。根拠としたのは「…

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