福岡県、適正価格の5倍で土地買収 地権者の団体幹部にそんたくか

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福岡県が当初算定した適正価格を約5倍に増額して買収した土地=福岡県赤村で2025年8月5日午前11時41分、本社ヘリから上入来尚撮影 拡大
福岡県が当初算定した適正価格を約5倍に増額して買収した土地=福岡県赤村で2025年8月5日午前11時41分、本社ヘリから上入来尚撮影

 福岡県が6月、道路事業に必要な土地を地権者の男性(75)から買収した際、当初は用地補償の適正価格は430万円と算定したのに、最終的に約5倍の2165万円で取得していたことが関係者への取材で判明した。毎日新聞が入手した内部資料によると、男性が価格に難色を示した後、県は委託業者に増額した「希望単価」を示し、土地の評価をやり直させていた。

※同時公開の深掘り記事あります。
福岡の土地買収、5倍増額のやり取り生々しく 入手の内部文書に

 公共事業の用地買収の過程は交渉の円滑化などを理由に原則非公開とされ、外部のチェック機能を働かせるのが難しかった。公金で賄われる用地補償の算定で不可解ともいえる大幅な増額が明らかになるのは異例で、制度の透明性を求める声が高まる可能性がある。

 内部資料などによると、福岡県が買収した土地は、同県赤村にある計2505平方メートルの山林。県が進める主要地方道「行橋添田線」(県道、総距離約33キロ)の整備に不可欠な事業用地だった。県の出先機関である県田川県土整備事務所は、用地補償会社(福岡市)に委託した土地評価の結果も踏まえ、用地補償額を430万円と算定。2024年10月に男性に提示した。

 だが、男性が安価だと拒否したため、県事務所は翌11月、土地の中に山林を伐採した「造成地」があり、加算が可能として補償会社に土地の再評価を指示。この結果、補償額は578万円に増えたが、男性は同12月、再び拒否した。

福岡県の道路事業を巡る用地買収の流れ 拡大
福岡県の道路事業を巡る用地買収の流れ

 すると、県事務所は補償会社に3度目の土地評価を指示。造成地とみなした一部エリアは「(平米単価)1万3700~1万4400円」とする「希望単価」も示した。補償額は約5倍の2165万円に跳ね上がり、男性は25年4月に契約を締結。県事務所は同6月20日、全額を支払った。

 県は用地補償額について「値段交渉により増額などが認められるものではない」と仕様書に明記している。

 地権者の男性は部落解放同盟福岡県連の副委員長で、買収交渉中の24年10月23日にも同和問題を巡って県側と協議。県事務所を管轄する県土整備部の部長らも出席していた。

 県事務所の当時の担当者は取材に対し「土地の評価を誤るミスが2回あった。希望単価は参考として伝えただけだが、結果的にその通りになった。(最終価格は)適正な価格だ。(部落解放同盟県連副委員長の)立場は全く関係なく、そんたくはしていない」と回答。地権者の男性は「価格をつり上げた認識はなく、誤解されるのは迷惑だ。解放運動の社会的信用を失墜させるような行為はできないので、自分の立場はおくびにも出していない。増額に影響はないはずだ」と話した。【志村一也、川畑岳志、金将来】

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