
大阪・関西万博のアンゴラパビリオン工事を巡り、大阪府警が13日、建設業法違反の疑いで強制捜査に乗り出した。疑惑の渦中にあるのは、建設会社「一六八建設」。社長と元経理担当者の男性が7月に毎日新聞の取材に応じたが、互いの主張は食い違った。真実はどこにあるのか。【井手千夏、松原隼斗】
<一六八建設の社長との主なやり取り>
――建設業法で定められた許可を取らずにパビリオン工事に参入した疑いが指摘されている。
◆大規模工事を受注できる「特定建設業許可」の取得を目指して必要な書類を整え、資本金も(条件となる)4000万円に増資していた。準備がそろったところで経理担当の社員には申請するよう指示していた。だが、その社員が提出していなかったことが3月に判明した。すでに工事は始まっていて、手遅れだった。
――なぜ3月まで無許可であることを把握できなかったのか。
◆こちらはバタバタしていて、申請を経理担当者に任せっきりにしていた。3月の時点で工事は95%くらい終わっていた。許可を持っていないからといって私たちが抜けると4月13日の万博開幕に間に合わなくなってしまうので、そのままやりきるしかなかった。
――経理担当者が申請していなかった理由は。
◆担当者からは許可申請に必要な「専任技術者」の協力が得られなかったと報告を受けたが、その協力者に確認したところ事実ではなかった。本当の理由はこちらでも分からない。
――どのような経緯でパビリオン工事に関わることになったのか。
◆2024年12月に話があり、翌年1月に正式に受注した。契約では約1億2200万円の工事だった。
――許可がないのになぜ受注したのか。
◆実際は間違った認識だったが、申請中でも工事を受けられると思っていた。仕事の話をくれた業者には申請するという説明をして納得してもらっていた。
――大阪府や日本国際博覧会協会から許可の有無について確認はあったか。
◆なかった。
――下請け業者に対する代金の未払いも指摘されている。
◆同じ経理担当者が万博の工事費を着服してしまい、払えなくなった。
――着服が判明した経緯は。
◆3月ごろに下請け業者から「振り込みがない」などと連絡が来るようになった。経理担当者に連絡したがつながりにくくなっていた。5月になってようやく通帳を回収できた。そこで担当者が、一六八建設から自分が経営する会社に多額の振り込みをしていることが分かった。
記事後半では、経理担当者とのやりとりを掲載します。
――振り込んだ金を何に使っていたのか。
◆こ…
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