急成長の創成館エース 全力投球を支える右腕の親友 夏の甲子園

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初戦の小松大谷戦で力投する創成館の森下翔太投手=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2025年8月5日、西夏生撮影 拡大
初戦の小松大谷戦で力投する創成館の森下翔太投手=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2025年8月5日、西夏生撮影

 夏の甲子園大会第8日(13日)の第3試合で、長崎代表の創成館は同じ九州勢の神村学園(鹿児島)と対戦する。チームの躍進を支えてきたのは、初戦の小松大谷(石川)戦でも好投した背番号1の森下翔太投手(3年)。昨年夏の甲子園ではベンチ外だった森下投手が控え投手からエースへと急成長した背景には、同じ右腕の奥田晴也投手(3年)=背番号11=との切磋琢磨(せっさたくま)の日々があった。

 熊本出身の森下投手と福岡出身の奥田投手は、共に実家を離れて学校がある長崎県諫早市で寮生活をし、一緒に食事をして野球談議に花を咲かせてきた親友。同時にエースナンバーを争ったライバルでもある。

「絶対負けたくない」

2024年夏の甲子園2回戦の大社戦で先発した創成館の奥田晴也投手=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2024年8月15日、山崎一輝撮影 拡大
2024年夏の甲子園2回戦の大社戦で先発した創成館の奥田晴也投手=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2024年8月15日、山崎一輝撮影

 先に頭角を現したのは奥田投手だった。昨夏の甲子園2回戦では、旋風を巻き起こした大社(島根)相手に先発し、五回まで1失点の好投を見せた。チームは延長十回タイブレークの末に4―5で惜敗したが、堂々としたマウンドさばきで鮮烈な印象を残した。

 その頃、森下投手の直球は最速140キロに届かず制球にも苦しんでいた。ベンチ入りは果たせず、奥田投手の甲子園での活躍をアルプススタンドから見守ることしかできなかった。

 「奥田には絶対負けたくない」。新チーム発足後、森下投手は目の色を変えて練習に打ち込んだ。就寝前のシャドーピッチングを一日も欠かさず、冬には練習場近くの神社の階段でダッシュを繰り返して下半身を鍛えた。奥田投手も負けずにウエートトレーニングなどに励み、互いの投球フォームについて気付いたことをアドバイスし合った。

 一冬越して森下投手の球速と制球力は大幅にアップし、春に念願のエースナンバーを勝ち取った。球速は夏前に最速149キロまで伸びた。一方の奥田投手は「悔しかったけど、森下が崩れた時に援護するのが自分の役割。それを全うする」と自分に言い聞かせた。

「代わった時は絶対失点しない」

長崎大会で優勝を決め、マウンドに駆け寄って喜びを爆発させる創成館の選手たち=長崎市で2025年7月27日午後1時50分、川島一起撮影 拡大
長崎大会で優勝を決め、マウンドに駆け寄って喜びを爆発させる創成館の選手たち=長崎市で2025年7月27日午後1時50分、川島一起撮影

 夏の長崎大会では森下投手が全5試合で先発。後ろに全幅の信頼を寄せる奥田投手が控えているため「全力投球ができた」。準決勝で完封し、決勝は初出場を目指して波に乗る九州文化学園打線を相手に168球の熱投を見せた。1点リードのタイブレーク延長十一回裏に無死満塁のピンチを招いたが、奥田投手が好救援して優勝投手になった。

 迎えた甲子園の初戦。「去年マウンドに立てなかった悔しさをぶつけた」という森下投手は、140キロ台の直球にスライダーやフォークを織り交ぜて相手打線を翻弄(ほんろう)し、毎回の13奪三振と好投。三回以降は二塁を踏ませず1失点完投し、チームは3年連続で夏の甲子園の初戦を突破した。

 2回戦で対戦する神村学園は2年連続で夏の甲子園で4強入りした強豪だが、「強気なピッチングでチームの勝利に貢献したい」と森下投手。初戦で出番がなかった奥田投手は「森下が打たれる時もあると思うので、代わった時は絶対失点しないように頑張りたい」と闘志を燃やす。【岡田愛梨、添谷尚希、川島一起】

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