鉄道を乗り継いで東京から2時間ほど。静岡県伊東市、真っ青な海を望む高台の一軒家に着くと、聞き覚えのある、温かな太い声が聞こえてきた。キートン山田さん(79)だ。
木のぬくもりにあふれる自宅リビングには、国民的な人気を誇るアニメ「ちびまる子ちゃん」の主人公、まる子をあしらった椅子カバーが。山田さんは約30年にわたり、このアニメのナレーションを務めてきた。どこかとぼけた「後半へ続く」というフレーズも、冷静で辛口なのにクスッと笑える突っ込みも懐かしい。「これだけ長く付き合ってると、かわいく思うよ」
声優にナレーター、俳優と華やかな世界で幅広く活動し、75歳を機に引退した。「独身時代、子育てと仕事に続く『第三の人生』を楽しめるように余力を残して辞めたい」と考えたからだ。農作業に打ち込んだり、料理をしたり、ジムに通ったりする、悠々自適の毎日だ。
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