プラスチック条約交渉、議長が妥協案 「生産規制」の条文消える

Date: Category:速報 Views:362 Comment:0

プラスチック汚染根絶に向けた条約について話し合う政府間交渉委員会の全体会合で発言するルイス・バジャス議長=スイス・ジュネーブの国連欧州本部で2025年8月13日、AP 拡大
プラスチック汚染根絶に向けた条約について話し合う政府間交渉委員会の全体会合で発言するルイス・バジャス議長=スイス・ジュネーブの国連欧州本部で2025年8月13日、AP

 プラスチック汚染根絶を目指す国際条約について話し合う国連の政府間交渉委員会は13日、ルイス・バジャス議長が合意に向けた新たな条文案を公表した。

 最大の争点だったプラ素材(ポリマー)の生産規制に関する条文を丸ごと削除するなど、生産段階の規制に強硬に反発する産油国側に譲歩した「妥協案」の印象の強い内容だが、当の産油国を含む多くの国から反対意見が相次ぎ、合意は厳しそうだ。交渉委は14日に会期末を迎える。

 9日に議長が提示した従来の案は計32項目からなり、対立する各国の主張を反映し、1000カ所以上の保留事項(空欄や複数の選択肢)が付いていた。

8月9日時点の議長案にあったプラスチック生産規制に関する6条(上)は、13日の新議長案から消えて別の条項に差し替わった(下)=公表された議長案から抜粋し加工 拡大
8月9日時点の議長案にあったプラスチック生産規制に関する6条(上)は、13日の新議長案から消えて別の条項に差し替わった(下)=公表された議長案から抜粋し加工

 13日に示された新案は9日以降の議論を踏まえ、保留事項が取り払われた。だが、プラ素材の生産規制に関して、欧州連合(EU)などが主張してきた国際的な生産・消費量の削減目標の設定は不採用となり、産油国側が求めてきた「条文なし」を採用。条文案は計31項目に減った。

 さらに、EUなどが求めてきた使い捨てプラ製品の段階的廃止などに関する文言も削除された。

各国から反対意見相次ぐ

 13日の全体会合で、バジャス議長は「残された時間はわずかだ。全ての参加者の意向を念頭に置いて作成した。私の最善の試みだ」と賛同を訴えた。

プラスチック汚染根絶に向けた条約の新たな議長案について話し合う政府間交渉委員会の全体会合=スイス・ジュネーブで2025年8月13日午後4時17分、高橋由衣撮影 拡大
プラスチック汚染根絶に向けた条約の新たな議長案について話し合う政府間交渉委員会の全体会合=スイス・ジュネーブで2025年8月13日午後4時17分、高橋由衣撮影

 しかし、EUの代表は「必要最低限の条件を満たしていない」と反対。中南米の国々も「許容できない」などと反発した。

 また、リサイクルなど廃棄物管理に絞った対策を求めてきた産油国サウジアラビアの代表も「多くのレッドライン(譲れない一線)を越えている」と反対意見を表明。賛同する意見はほとんど聞かれなかった。

 交渉委は議長案をもとに条文を精査するが、会期末が14日に迫る中、各国が受け入れ可能なものに仕上げるのは困難な情勢だ。【ジュネーブ高橋由衣】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.