米首都ワシントンの警察を連邦政府の指揮下に置くのは違法だとして、ワシントン特別区は15日、トランプ大統領らを提訴した。民主党のバウザー市長は、犯罪対策で移民当局に協力する姿勢を示していたが、ボンディ司法長官が14日に警察トップの権限を連邦政府に移譲するよう命じたことを受け、対決姿勢に転じた。
訴状によると、大統領は緊急事態に限って地元警察を動員できるなどとする連邦法の規定を大幅に逸脱し、自治を侵害しているとした。
移民に寛容なワシントンは警察が拘束した容疑者の情報について連邦当局と共有することを法律で禁じているが、地元警察トップは14日、検問などで得た市民らの情報を提供する方針を示した。米紙ワシントン・ポストによると、犯罪対策を名目に統制を強めようとするトランプ政権に対し、一定の協力姿勢を示すことで圧力をかわす狙いがあったとみられる。
しかし、ボンディ氏は「不法移民に関するすべての情報を渡さなければならない」とし、警察トップの権限を麻薬取締局(DEA)のコール局長に委任すると一方的に発表した。
ワシントンのシュワルブ司法長官は15日の声明で、「政権は権限を乱用している。ワシントンがこれまで直面したことのない最も重大な自治への脅威を止めるために戦わなければならない」と訴えた。【ワシントン金寿英】
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