高校野球・夏の甲子園3回戦(17日)
○東洋大姫路(兵庫)3―2西日本短大付(福岡)●
チームが追求してきた中前への鋭い打球だった。東洋大姫路の4番、白鳥翔哉真(ひやま)が五回に放った勝ち越し打だ。主軸が大一番で仕事をし、勝利に導いた。
1点を追う五回だった。2死から3番の高畑知季(かずき)の適時打で1点を返して同点。なお一、二塁の場面で左打席に向かうと、相手ベンチは主戦の中野琉碧(るい)をマウンドに送ってきた。勝ち越しの好機に相手エースの登場だ。心が燃えないわけがない。
「チャンスこそ積極的に狙う」。集中力を高めて1ボールからの2球目は低めの変化球だった。しっかり左足に体重を乗せてから一気に振り抜くと、打球は中前に抜けて1点を加えた。
阪神ファンの父親から、「代打の神様」を代名詞に活躍した桧山進次郎さんにちなんで名付けられた。勝負強さは、こちらも負けていない。
今大会3試合目で、1回戦では2安打、2回戦では3安打をマークした。好調の背景には、兵庫大会前に味わった危機感がある。
沖縄で6月に組まれた沖縄尚学との招待試合で、相手エースの末吉良丞(りょうすけ)に2三振を喫して途中交代し、チームは零封負け。「一層気が引き締まった」と振り返り、実戦を想定した打撃練習に力を入れた。その結果、兵庫大会で25打数17安打で打率6割8分を残した。
8強入りを決めたチームが臨む準々決勝の相手は沖縄尚学だ。末吉はこの日の3回戦で11イニングを一人で投げ抜いて勝ち上がってきた。「一番はチームが勝つこと。でも、個人的には末吉投手にリベンジしたいです」。成長を示す舞台は整った。【黒詰拓也】
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