2025年の夏、いかがお過ごしでしょうか。暑さ対策をしつつ、旅行や帰省の計画を立てている人も多いのでは?今回は全国各地の「地域トリビア」を厳選して紹介します(随時掲載)。家族や旧友、旅先の人たちとの話題にチェックしてみてください。ふるさとの意外な一面も見えてくるかもしれません。
コロナ禍で実感「これはもう文化」
古き良き街並みが残る盛岡市は「コーヒーの街」としての顔も持つ。総務省家計調査によると、盛岡市民のコーヒーへの年間支出額(2022~24年平均)は1世帯あたり8553円で、全国6位。それ以前の統計も、常に上位に入っている。盛岡市出身の私(記者)も高校生の時、なじみの喫茶店にいて、母から「帰宅が遅い」とたびたび、店に電話をされていた。
なぜ多くの盛岡市民がコーヒーをたしなむのか。「日常的に『お茶をする』ことが根付いているからでは」と言うのは、「ナガサワコーヒー」店主の長澤一浩さん。根拠として長澤さんが挙げたのは、新型コロナウイルスの流行時のこと。外出自粛が呼びかけられ、飲食店は大きな影響を受けた。しかし、ナガサワコーヒーは店頭でのコーヒー豆の売り上げが急増。通信販売も好調で、店内飲食の減少を補って余りあるほどだったという。「『店で飲めなければ自宅で』ということだったのでしょう。これはもう文化ですよね」と長澤さんは語る。
この店は、米ニューヨーク・タイムズの記事「2023年に行くべき52カ所」で、盛岡が英ロンドンに次ぐ2番目に取り上げられた際、紹介された。開店は12年と比較的新しいが、広い空間に大きなドイツ製の焙煎(ばいせん)機が置かれ、心地よい雰囲気の店内は盛岡を代表する喫茶店にふさわしい。長澤さんは「個性的な店内も盛岡の喫茶店の特徴。ゆったりした街の雰囲気と相まって、コーヒーを楽しむ舞台が整っている」と話す。【佐藤岳幸】
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