「雪風 YUKIKAZE」(山田敏久監督)は、太平洋戦争のあまたの海戦を生き延びた駆逐艦「雪風」がモデルの戦争映画だ。名だたる海戦場面のスペクタクルを盛り込みながら、艦長の寺澤(竹野内豊)とその下で奮闘する乗組員たちの姿を描いている。
寺澤は誠実で沈着冷静、かつ豪胆。軍の、兵の命を顧みない無謀な作戦の指揮を執る一方で、部下と仲間を生きて帰すことに力を尽くす。艦の将兵は寺澤の下に一致団結。戦闘の合間には、酒をくみ交わして米国映画の話で盛り上がる。
この映画を見ながら、「五人の斥候兵」(田坂具隆監督)を思い出した。1938年に作られた、戦意高揚映画である。中国大陸の戦線で日本軍の小部隊が、敵に囲まれてしまう。部隊長の岡田(小杉勇)は5人を斥候として偵察に出すが、斥候兵の一人はなかなか戻らない……。
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