だいぶ前に亡くなった母方の祖父はたいそうな趣味人で、特にミステリー小説とクラシック音楽が大好きな人だった。祖父母宅の2階は壁という壁が本棚で埋まっており、そこに国内外の文庫本とハヤカワ・ミステリがぎっちりと詰まっていた。その祖父から小学生のときに『シャーロック・ホームズ大全』(鮎川信夫著、講談社刊)をプレゼントしてもらったのをきっかけに、私も古典ミステリーを読むようになり、ノートに拙い探偵小説を書いたりもしていた。
長じて20代からアルバイトと並行して執筆業を始め、本格ミステリー作家を目指した……わけではなく、その頃には読書傾向も趣味も小学生の時分からは変化していたので、ゲームシナリオやライトノベルの人気作家になれたらと夢見ていた。
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