今年2月末にトランプ米大統領らと激しく口論して以来となるホワイトハウスへの18日の再訪で、ウクライナのゼレンスキー大統領はトランプ氏と終始良好な雰囲気の中で会談を終えた。
「なぜスーツを着てこないのか」「もっと感謝しなければならない」――。ゼレンスキー氏は前回の訪米時に米側から浴びせられた非難を踏まえ、今回は同じ失敗を繰り返さないよう慎重に対応した模様だ。
首脳会談に先立って、トランプ氏が待つホワイトハウスの玄関前で車から降り立ったゼレンスキー氏は、黒いスーツ風の上下をまとっていた。トランプ氏は「とてもよく見える」と笑顔で出迎えた。
ゼレンスキー氏は、ロシアによる全面侵攻の開始以降、「戦時大統領」としての立場や前線兵士との連帯を示すために、外交の場でもカーキ色や黒色のTシャツやトレーナーの着用を続けている。
だが、トランプ氏はホワイトハウスで行われる行事の格式や装飾などに強いこだわりがあるとされる。米ニュースサイト「アクシオス」によると、米側は今回の会談に先立ち、ウクライナ側にゼレンスキー氏がスーツを着用するか確認していたという。
会談が始まると、ゼレンスキー氏は約1分間の冒頭発言の中で繰り返し「サンキュー」と述べて、トランプ氏の仲介努力に対する謝意を強調した。
さらに、15日の米露首脳会談の際にトランプ氏が妻メラニアさんの手紙をプーチン露大統領に渡したことにも感謝を伝え、妻オレナさんがメラニアさんに宛てたお礼の手紙を手渡した。
ホワイトハウスでの前回2月28日の首脳会談では、ゼレンスキー氏は、停戦問題や感謝の有無を巡ってバンス米副大統領と口論になり、トランプ氏とも言い合って怒りを買った。会談決裂を受けて、3月には米国の兵器や軍事情報の提供が一時停止される事態となった経緯がある。
前回の会談時に「なぜスーツを着ないんだ」とゼレンスキー氏を難詰した米保守系メディアの同じ記者から、今回は「そのスーツは素晴らしい」との声が上がった。トランプ氏も「私も同じことを言ったんだ」と同調して笑った。
その後の欧州首脳らを交えた会合で、ゼレンスキー氏は「トランプ大統領とこれまでで最も良い会話ができた」と振り返った。【ワシントン金寿英】
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