1998年以来となる甲子園の春夏連覇を狙う横浜(神奈川)は、2年前から練習時間の削減に取り組んできた。
日々の睡眠を最低8時間は取り、心身のコンディションを整えるためだ。
酷暑の中でプレーしても体調不良を訴える選手は少なく、快進撃につながっている。
体調管理を優先
「一度寝かせます」
7日午前8時から予定されていた敦賀気比(福井)との初戦の雨天順延が決まった後、村田浩明監督(39)は記者団にこう語った。
この日、選手たちは早朝に起きたため、昼食後に数時間の睡眠を取り入れた。午後も体を軽く動かす程度にとどめ、選手の体調管理を優先させた。
村田監督が高校球児だった頃は長時間練習をするのが「当たり前」だったが、「脳が疲れた状態で野球をしてもいい技術は身につかない。脳も野球をやりたいとなった時に全力プレーができる」と話す。
そこで就任4年目の2023年から取り組んだのが、睡眠時間の確保だ。自身も「疲れている時に全くいい仕事ができなかった」という経験があった。
そのために練習は「量より質」を重視し、インターバルを減らすなどして1時間短縮。午後7時で切り上げるようになった。夕食の時間も30分以内とする制限を設けた。
さらに、ほとんどの選手が暮らす寮の消灯時間を2時間早めて午後9時とし、睡眠時間を最低8時間取るよう指導した。
大谷選手も睡眠を重視
米大リーグで投打に活躍する大谷翔平選手も睡眠を重視し、長く眠ることで知られている。
横浜の高山大輝コーチ(34)は「寝ることで成長も促す。体つきがとても大きくなった」と目を細める。暑い中でも体調を崩すことは少なくなっているという。
津田学園(三重)との3回戦で先制点につながる安打を放った為永皓(ひかる)選手(3年)は「リカバリーを大切にしていて、寝ることもその一つ。次の日のプレーにつながるので、すごくいいサイクルでできていると思う」と手応えを感じている。
大会期間中も睡眠を8時間取り、選手たちはさえたプレーで甲子園を沸かせている。【清水夏妃】
Comments