聖地に導かれた虎党、沖縄尚学・宜野座が立つ分岐点 夏の甲子園

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【沖縄尚学-仙台育英】延長タイブレーク十一回表沖縄尚学1死二塁、適時三塁打を放ち喜ぶ宜野座恵夢=阪神甲子園球場で2025年8月17日、平川義之撮影 拡大
【沖縄尚学-仙台育英】延長タイブレーク十一回表沖縄尚学1死二塁、適時三塁打を放ち喜ぶ宜野座恵夢=阪神甲子園球場で2025年8月17日、平川義之撮影

 甲子園には何かと縁がある。

 スター選手の背中を一生懸命に追いかけた幼少期、身近な存在が巻き起こした旋風……。今は自分が大観衆を沸かせる立場になった。

 全国高校野球選手権第13日の19日、準々決勝に挑む沖縄尚学の宜野座恵夢(えいむ)捕手(3年)は、野球人生の原風景の地で躍動している。

 宜野座選手は沖縄県宜野座村出身。自宅からほど近いプロ野球・阪神の春季キャンプ地に熱心に通う、生粋の「虎党」の少年だった。

 野球教室に参加し、阪神の選手から直接指導を受けたり、甲子園で試合を観戦したりもした。

 「プロ野球といえば阪神」

 その本拠地、甲子園のグラウンドで大歓声を受けながらプレーする夢は、子供ながらに膨らんでいった。

【宜野座-岐阜第一】第73回選抜高校野球大会でホームに滑り込む宜野座・仲間芳博=阪神甲子園球場で2001年3月28日、大西達也撮影 拡大
【宜野座-岐阜第一】第73回選抜高校野球大会でホームに滑り込む宜野座・仲間芳博=阪神甲子園球場で2001年3月28日、大西達也撮影

 もう一つ、甲子園を身近に感じさせた存在がいる。

 おじの仲間芳博さんだ。

 仲間さんは宜野座(沖縄)が21世紀枠で甲子園に初出場した2001年春のセンバツ大会で背番号1を付けていた。この大会は「6番」を付けて「宜野座カーブ」を操った比嘉裕さんが主戦となり、仲間さんは遊撃手としてプレーした。

 21世紀枠が初めて導入された大会で、岐阜第一、桐光学園(神奈川)、浪速(大阪)を破って4強入りした快進撃は「宜野座旋風」として大きな注目を浴びた。続く夏には仲間さんはエースとして仙台育英(宮城)を相手に完投するなど活躍した。

【宜野座-仙台育英】第83回全国高校野球選手権大会で最後の打者を三振にとり、ガッツポーズの宜野座・仲間芳博=阪神甲子園球場で2001年8月9日、平田明浩撮影 拡大
【宜野座-仙台育英】第83回全国高校野球選手権大会で最後の打者を三振にとり、ガッツポーズの宜野座・仲間芳博=阪神甲子園球場で2001年8月9日、平田明浩撮影

 宜野座選手は野球に本格的に取り組むようになると、旋風が起きた当時の動画を見たり、仲間さんから話を聞いたりするようになったという。

 「沖縄県民の皆さんが一つになり、周りの応援や盛り上がり方がすごかったと聞きました。すごく憧れたし、自分も絶対に甲子園でプレーするんだ、という思いが強くなりました」

 地元から離れ、那覇市にある強豪・沖縄尚学に進学したのも、その夢をかなえるためだった。

【沖縄尚学-仙台育英】延長タイブレーク十一回表沖縄尚学1死二塁、宜野座恵夢が適時三塁打を放つ=阪神甲子園球場で2025年8月17日、西夏生撮影 拡大
【沖縄尚学-仙台育英】延長タイブレーク十一回表沖縄尚学1死二塁、宜野座恵夢が適時三塁打を放つ=阪神甲子園球場で2025年8月17日、西夏生撮影

 高校最後の夏。1回戦の金足農(秋田)戦こそ無安打だったが、2回戦の鳴門(徳島)戦は2安打3打点。延長タイブレークの激戦となった3回戦の仙台育英戦は十一回に勝利を引き寄せる適時三塁打を放ち、捕手としてのリードと好守も光った。

 準々決勝は東洋大姫路(兵庫)が相手。宜野座選手は「小さい時から憧れてきた甲子園でのプレー、楽しめています」と笑う。

 チームが夏の甲子園で8強入りするのは今回で3度目。春は2度頂点に立ったが、夏は準々決勝を突破した経験はなく、この先はまだ見ぬ景色を追う戦いになる。

 「自分たちは境目にいる。歴史を変えられるかもしれない挑戦ができることを誇りに思います」

 歴史を変えたおじに負けず、夢舞台をもっと沸かせてみせる。【角田直哉】

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