トランプ米大統領は18日(日本時間19日未明)、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。ロシアのウクライナ侵攻について協議し、その後、欧州の首脳らも交えた会合を開いた。トランプ氏は、ウクライナが求めてきた「安全の保証」に米国が関与する方針を明言した。自身のソーシャルメディアで、ロシアのプーチン大統領と電話協議し、ロシアとウクライナの首脳会談の調整に入ったと表明。自身も交えた「3者会談」の実現に改めて意欲を示した。
トランプ氏とゼレンスキー氏のホワイトハウスでの会談は、口論となり決裂した2月末以来。15日に米アラスカ州であった米露首脳会談を受けて開かれた。会合には、英仏独伊フィンランドと欧州連合(EU)の首脳、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が参加した。
米メディアによると、トランプ氏は会合の途中で席を立って、プーチン氏と約40分間電話協議した。トランプ氏はソーシャルメディアで、まずロシアとウクライナの首脳会談を実施し、その後、自身も含めた「3者会談」が実施されるとの見通しを示した。「開催地は今後決定される」とも投稿した。
ドイツメディアによると、ドイツのメルツ首相は、トランプ氏がロシアとウクライナの首脳会談を「2週間以内」に開催しようと調整していると明かした。ルッテ氏も米FOXニュースに出演し、プーチン氏がトランプ氏との電話で、ゼレンスキー氏との会談に合意したと明かした。
ウクライナへの「安全の保証」に関しては、トランプ氏がゼレンスキー氏との会談で欧州とともに関与する考えを示した。「みんなと協力して平和が実現したら、平和が維持されるように努める」と表明。記者団から「米軍の派遣も含まれるのか」と聞かれると、欧州首脳らと話し合うとし、「彼ら全員が関与し、安全保障に関して多くの支援があるだろう。我々も支援し、関与する」と述べた。
会談では、ロシアの占領地域についても話し合われた。報道によると、トランプ氏は東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)からウクライナ軍を撤退させるというロシアの提案を支持している模様だ。ゼレンスキー氏は、ロシアの支配領域についてはプーチン氏との首脳会談で協議する意向を示している。
ゼレンスキー氏は欧州の首脳らを交えた会合で、トランプ氏との会談が「これまでで最も良い話し合いだった」と評価した。他の出席者からも米側が安全の保証に関与する方針を示したことを歓迎する発言が相次いだ。
一方で、トランプ氏は停戦よりも和平合意の締結を優先するロシア寄りの立場を示しており、メルツ氏らは「停戦」が必要だと指摘。フランスのマクロン大統領は欧州も含む「4者会談が必要になるかもしれない」と述べ、欧州の頭越しで議論が進むことへの警戒感を示すなど、温度差も浮き彫りになった。【ワシントン松井聡】
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