
トランプ米大統領の仲介でロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の直接会談の調整が始まった。ロシアの侵攻が続くウクライナへの「安全の保証」やロシアの占領地域の扱いが注目されるなか、会談は実現するのか。それぞれの思惑を探った。
ウクライナは3者会談にこだわり
「領土問題を含む機微に触れる問題は、ウクライナと米露の3者会談で協議する」。ゼレンスキー氏は18日、米欧首脳との拡大会合で改めて強調した。会合を受けて3者会談に向けたトランプ氏の調整が始まり、ウクライナ国土の約2割に及ぶ占領地域を巡って対露交渉が進む可能性が高まった。
ゼレンスキー氏は拡大会合で、戦線の詳細な現況をトランプ氏に地図を用いて説明したと明らかにした。ウクライナ側は現在の前線が、領土に関する交渉の出発点になるとの認識を示しており、ロシアとの和平に向けてトランプ氏と議論したとみられる。
ウクライナが3者会談にこだわるのは、停戦後の安全の保証を米露両国からどこまで得られるかが、長期的な和平実現の最重要条件となるからだ。
停戦後も露軍再侵攻のおそれを拭えなければ、ウクライナの社会・経済にとって重圧となる。国外避難民の帰国が遠のくほか、国外移動禁止令が解除されれば他国へ移住する人々がさらに増える可能性がある。労働人口の流出は有事の兵員確保を困難にし、復興の足かせにもなる。
ゼレンスキー氏「教訓忘れない」
ウクライナには安全の保証を巡る痛恨の経験がある。ソ連崩壊から3年後の…
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