アフリカ開発会議(TICAD)に出席するため来日したケニアのルト大統領が22日、横浜市内で毎日新聞の取材に応じた。TICADの成果として、教育や産業分野での日本の技術を生かした人材育成を挙げ、「保健医療や住宅の供給といったケニアの社会課題の解決に向け、日本との関係は非常に重要だ」と語った。
日本とケニア両政府は、TICADに合わせ、ケニアに対する250億円規模の円建て融資で合意。資金は自動車産業の振興などに充てられ、現地に進出する日本企業の支援にもつながると期待されている。
ルト氏は、ケニアにとって国際市場へのアクセスの多様化と経済基盤の強化が不可欠だと説明。日本との貿易収支が大幅な赤字となっている現状について「バランスの是正が課題で、農産物や乳製品などの輸出促進を巡って活発に議論した」と述べた。
さらに若年層の雇用創出が課題となる中、少子高齢化で人手不足に直面する日本に対し、「若者を訓練し、文化や言語を備えさせて日本市場に参入できるようにしたい」と明言。「ケニアと日本の労働倫理や労働文化はよく似ており、私たちは高い成果を上げる才能ある人材を擁している」と強調した。
ルト氏は、人材育成をはじめとした日本のソフト面の支援を評価する一方、巨額の投資でアフリカへの影響力を強める中国については「ケニアは米国、中国、欧州とも関係を維持しており、各国との協力は相互理解に基づいている」と述べるにとどめた。
その上で、日本との協力関係は今後も拡大が見込まれるとし、「教育、労働、医療、農業といった幅広い分野で、ケニアの発展と両国の利益に資する」と期待を表明した。【飯田憲】
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