米東部ニューヨーク州の控訴裁判所(高裁)は21日、トランプ米大統領の親族企業が保有資産の価値を過大申告して不当に利益を得たとして州司法長官が訴えた民事訴訟で、トランプ氏らに3億5490万ドル(約526億円)の支払いを命じた1審判決を破棄した。トランプ氏らに「法的責任がある」とする一方、「不正行為に対して過剰な罰金であり、憲法に反する」と判断した。州側は上訴する方針だ。
控訴審判決は、1審判決が認定したトランプ氏らの不正行為を認める一方、「巨額の罰金を正当化できるほどの実害は生じていない」などと説明。トランプ氏らがニューヨーク州で一定期間、企業の役員に就くことなどは引き続き禁止した。
トランプ氏(共和党)は判決を受け、自身のソーシャルメディアで「完全勝利だ」と投稿し、「(訴訟は)政治的な魔女狩りだった」と改めて批判した。ジェームズ州司法長官(民主党)は声明で「高裁は大統領の違法行為を認めた」と述べ、上訴する考えを示した。
訴訟は2022年に提起された。州側は、トランプ氏の親族企業「トランプ・オーガニゼーション」が高層ビル「トランプタワー」などの不動産価値を過大申告し、銀行から低金利で融資を受けていたなどと主張。1審は24年2月、親族企業の不正を認定し、トランプ氏側に不正利得の返還を命じていた。米メディアによると、利息を含めると、トランプ氏が1審判決に基づいて支払いを求められた額は5億ドルに上る。【ワシントン金寿英】
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