農水省調査 コメ流通の目詰まり確認されず 需給バランス崩れたか

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農水省=東京都千代田区で、米田堅持撮影 拡大
農水省=東京都千代田区で、米田堅持撮影

 農林水産省がコメ価格高騰の原因を検証するために実施した六つの調査で、これまで政府が主な要因として説明してきた「流通の目詰まり」は確認されなかった。銘柄米は高値を維持しており、農水省は想定より需要量が上振れし、コメの需給バランスが崩れた可能性について検証している。

 六つの調査は、国に届け出ている約7万の全業者を対象にした出荷・販売・在庫量調査▽小売りや外食・中食、食品加工業者に対する流通状況のヒアリング▽精米歩留まりの状況調査――など。農水省は30日午前、有識者らでつくる同省の食糧部会に調査結果を報告した。

 全業者を対象にした在庫量調査は、現行のコメの流通制度となった2004年以降で初めて。在庫量は今年6月末時点で、JAなどの集荷、小売り、中食・外食の各業者はいずれも「前年と同程度」だったことが判明した。卸売業者は前年より10万トン多かったが、大量放出された政府備蓄米の在庫量が一部上乗せされている事情もあるという。

 5月末から店頭に並び出した随意契約による割安な政府備蓄米の放出が一定程度、過剰在庫の解消につながった可能性もある。ただ、銘柄米の価格は現在も店頭で5キロ4000円台の高値を維持している。農水省は当初、卸売業者らが在庫を抱え込むことで流通の目詰まりが起きているとみていたが、価格高騰との因果関係は乏しいとみられる。

 政府は今年1月、流通の目詰まりを解消するため、一般競争入札による政府備蓄米の放出を決めた。高騰の要因が「流通上のスタック」(江藤拓前農相)ではなく、国の想定よりコメの需要量が大きく膨らみ、高温などの影響で玄米の品質が悪化し、精米後の供給量が少なくなっていた可能性もあるとみて検証している。

 農水省はコメの需給見通しを見直す必要があるとして、例年7月下旬に出している向こう1年間の主食用米などの需要量の見通しは公表を見送った。

 参考値として、今年6月末までの1年間の需要量は711万トンだったと公表。6月末時点の民間在庫量(備蓄米を含む)は157万トンで、コメ業界で不足感がない適正水準とされる180万~200万トンから大幅に少ない状態で推移しているとした。【中津川甫、渡辺暢】

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