米メディアは22日、連邦捜査局(FBI)がボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の自宅と事務所を家宅捜索したと報じた。ボルトン氏はトランプ政権1期目で大統領補佐官を務めたが、北朝鮮やイランを巡る意見対立を理由に解任され、その後はトランプ大統領の外交を批判するようになった。
具体的な容疑は不明だが、ニューヨーク・タイムズによると、ボルトン氏は政権離脱後、中央情報局(CIA)が海外で収集した情報を違法に扱った疑いが持たれている。また、トランプ政権に打撃を与える目的で機密情報をメディアに漏らした容疑でも捜査されているという。CNNテレビは、ボルトン氏が政権離脱後の2020年に出版した回顧録で、機密情報を違法に開示した疑いがあると報じた。
トランプ氏は記者団の取材に対し「(捜査の)詳細を聞ける立場にあるが関わらないようにしている」と述べる一方、「(ボルトン氏は)テレビでトランプの悪口を言う時以外は静かな男だ。賢くないし非愛国的なやつだ」と敵意をあらわにした。FBIのパテル長官は22日、X(ツイッター)に「法の上に立つ者はいない。FBIは任務に着手している」と投稿した。
トランプ氏の2期目就任後、過去に対立した元政権幹部らに対する捜査が相次いで報道された。ワシントン・ポストは「トランプ氏が政敵を狙った最新の事例」と指摘している。
国務次官や国連大使などを歴任したボルトン氏は18年4月にトランプ政権1期目で大統領補佐官に就任。政権離脱後は回顧録や公の場でトランプ氏を批判していた。トランプ氏は今年1月の就任直後、ボルトン氏を大統領警護隊(シークレットサービス)の警護対象から外した。ボルトン氏はイラン当局の暗殺の標的になったことがあり、バイデン前政権が警護をつけていた。【ワシントン金寿英】
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