深紅の大優勝旗が15年ぶりに沖縄に渡った。第107回全国高校野球選手権大会決勝は、沖縄尚学が日大三(西東京)を3―1で退け、悲願の夏の甲子園初優勝を果たした。戦後80年の節目での快挙に、スタンドや地元沖縄は歓喜に包まれた。
「チバリヨ~!(頑張れ)」。沖尚グリーンに染まった三塁側アルプス席では「ハイサイおじさん」のリズムに合わせて「必勝‼沖縄尚学」と書かれたバルーンをたたく音と指笛が鳴り響き、ナインの活躍を後押しした。
六回表、宜野座恵夢(えいむ)選手(3年)の勝ち越し適時打に、カチャーシーを舞いながら喜びを表現した那覇市の宮城郁(かおる)さん(28)は沖縄尚学のOB。「後輩たちが誇らしい」と喜んだ。
試合後、宜野座選手の父、恵造さん(49)は「年がいもなく泣けた。次の人生でも苦しい場面が来ると思うが、頑張ってほしい」とエールを送った。
応援団長で野球部員の照屋温大さん(3年)は「とてもいい試合だった。最後までかっこいい姿でプレーしてくれて、最高のチームメート。甲子園のアルプスから応援できて最高でした」と興奮気味に話した。
アルプス席には沖縄県の玉城デニー知事も駆けつけ、試合終了の瞬間には観客らとハイタッチをしながら県勢の日本一を祝った。戦後80年の節目に沖縄代表が優勝したことについて、玉城知事は「いろんな意味がある勝利だ。皆が記憶して、後世に伝え、つなげていきたいこの年に、野球の歴史も刻んでくれた。沖縄の子どもたちにとっても夢があること。希望を与えてくれた」と感謝した。【長岡健太郎、来住哲司、山口響】
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