国連開発計画(UNDP)の徐浩良(シュウ・ハオリャン)総裁代行が22日、毎日新聞のインタビューに応じた。徐氏は、米国や欧州各国が援助を削減したことなどから政府開発援助(ODA)が減っていることに触れ、「ODAは支援される側だけでなく、支援する側の利益にもなりうる」と指摘。多国間主義やODAを維持することの重要性を強調した。
UNDPは、22日まで横浜で開かれた第9回「アフリカ開発会議(TICAD)」を日本政府と共催。徐氏は会議に合わせて来日した。
経済協力開発機構(OECD)によると、2024年の世界のODA合計額(暫定値)は前年比7・1%減の約2121億ドル。25年はさらに9~17%減少するとの予測もある。
徐氏はODA減少の背景には、各国が防衛費など他の予算を増やしていることがあるとし、「国内の問題が複雑化し、それぞれの国民が外国の支援に予算を割くことに消極的な世論を反映している」と説明した。
しかし徐氏は、一つが勝てば他方が負けるという「ゼロサムゲーム」としてODAを見るべきではないと指摘。エイズウイルス(HIV)や結核、マラリア対策に投じられた世界からの援助が、約6500万人の命を救ったとするリポートを示し、「救われた命は今後世界的な人材として活躍しうる。多国間主義に基づく行動は巡り巡って結果を残す」と話した。
徐氏は、こうした支援に日本が長きにわたって貢献してきたことに触れ、「その役割は非常に大きい。日本の政府、国民が今後もこの方針を支持し、世界に相互利益をもたらしていくことを望む」と述べた。【石山絵歩】
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