化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件で、警視庁の鎌田徹郎副総監と東京地検の市川宏次席検事、最高検の小池隆公安部長が25日、横浜市内の霊園を訪れ、勾留中にがんが見つかり被告の立場のまま亡くなった元顧問、相嶋静夫さん(享年72)が眠る墓の前で謝罪した。
鎌田副総監ら3人は午前10時半ごろ、相嶋さんの遺族が見守るなか、順番に墓前にひざまずき、手を合わせた。この後、霊園内の施設で遺族と面談した鎌田副総監は「違法な捜査を行ったことについて深くおわび申し上げます」と頭を下げた。市川次席検事も「違法な公訴提起で重大な人権侵害を生じさせ、保釈請求に対する不当な対応で相嶋様の治療の機会を損失させてしまい、心よりおわび申し上げます」と述べ、小池部長とともに謝罪した。
相嶋さんは2020年3月、警視庁公安部に外為法違反容疑で逮捕、起訴され、勾留中の10月に胃がんが判明した。弁護側は保釈請求したが検察側が反対して裁判所も認めず、相嶋さんは満足な治療を受けられずに21年2月に亡くなった。
相嶋さんとともに逮捕、起訴された大川原正明社長(76)と元取締役の島田順司さん(72)は25年6月、警視庁と東京地検の謝罪を受けている。相嶋さんの遺族は「何が真実だったかの説明がない」と同席しなかったが、警視庁と最高検が8月7日に検証報告書を公表し、違法な逮捕・起訴や勾留請求に言及するとの条件も捜査当局側が承諾したため、この日の謝罪を受け入れた。【遠藤浩二】
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