防衛省や地元自治体に連絡なく日米合同訓練 局長が陳謝 京都

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事前連絡がなかった日米合同訓練について説明する丸山幹夫・近畿中部防衛局長(左手前)=京丹後市役所で2025年8月25日午前11時50分、塩田敏夫撮影 拡大
事前連絡がなかった日米合同訓練について説明する丸山幹夫・近畿中部防衛局長(左手前)=京丹後市役所で2025年8月25日午前11時50分、塩田敏夫撮影

 弾道ミサイルを探知・追尾するXバンドレーダーを配備した米軍経ケ岬通信所(京都府京丹後市丹後町)で7月、防衛省が把握せず、地元自治体にも連絡がないまま日米合同訓練が実施された問題があり、近畿中部防衛局の丸山幹夫局長が25日、京丹後市役所を訪れ、中山泰市長に事実経過を報告した。「あってはならないことで、地元に情報提供ができなかったことは重大で申し訳ない」と陳謝した。

 防衛省によると、日米合同訓練は7月9、10日、陸上自衛隊第7普通科連隊(福知山市)と在日米軍が参加して行われた。本来、第7普通科連隊の上部組織の中部方面総監部(兵庫県伊丹市)から近畿中部防衛局に事前に訓練内容の連絡があり、それを基に地元自治体、地元区に知らせることになっている。

 だが、丸山局長は今回の経緯について「中部方面総監部の担当者間で引き継ぎが不十分で、連絡そのものがなかった」と説明。このため、市や地元区に全く連絡がないまま訓練が行われたとした。

 訓練を目撃した基地近くの住民が7月10日、防衛省京丹後現地連絡所と市に通報したが、防衛省は「日米合同訓練は行われていない」と回答。市も「防衛(省)に確認したが、訓練は行われていない」と回答していた。

 市も基地近くに基地対策室を設置しているが、現場に職員が出向いての確認はしていなかった。防衛省京丹後現地連絡所は「基地周辺で調べたが、訓練は確認できなかった」とした。

 日米合同訓練は、同基地のフェイスブックで紹介されており、市は地域住民代表が参加する第42回安全安心対策連絡会(7月31日)で事実関係の確認を求めていた。

 丸山局長はこの日、事実経過を説明したうえで、毎月、近畿中部防衛局と中部方面総監部の連絡会議を開催し、情報共有に努めるなど、再発防止に全力を挙げる方針を示した。

 これに対し、中山市長は「情報提供がなかったことは地元として重く受け止めている。連絡がないことは地元の不安に直結することであり、遺憾だ。再発防止に万全を期してもらいたい」と語った。

 この後、丸山局長と中山市長は記者会見を開いた。丸山局長は「なんでこんなことが起きるのか、信じられない思い」と語った。「文民統制(シビリアンコントロール)の根幹に関わる問題」との質問に対し、「今回を含め、同基地では計11回の日米合同訓練を実施したが、事前連絡がなかったのは今回が初めて。こうしたミスがないよう二重、三重のチェック態勢を取る」と釈明した。

 中山市長も、住民から訓練の目撃情報を知らされながら現場確認をしなかった市の対応について「(この日の記者からの質問で)現場に行かなかったことを初めて聞いた。私の指揮不足」と語った。

 基地周辺住民でつくる「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の増田光夫代表は今回の事態について「先の大戦の教訓から生まれたシビリアンコントロールが大きく揺らいでいることを示しているのではないか。われわれ住民に防衛(省)も市もしっかりと説明する場を設けてほしい」と語った。【塩田敏夫】

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