「越後の竜」「軍神」などの異名を持つ戦国最強の武将・上杉謙信をしのぶ「謙信公祭」が23、24の両日、新潟県上越市内であった。100回目となる今年は「暴れん坊将軍」など多くの時代劇に出演する俳優の松平健さんが上杉謙信に扮(ふん)し、その姿をひと目見ようと、市内は多くの観光客や地元住民らでにぎわった。
謙信公祭は1926年に始まり、戦時中や新型コロナウイルス禍でも中止せず、毎年実施されてきた。
松平健さんは「出陣行列」と「川中島合戦の再現」に登場。出陣行列では白馬にまたがり白い頭巾をかぶった姿を見せると、観客らからは「お館さま」と声援がとんだ。
松平さんは腰に差した刀を手に取り、家臣らとともに「エイエイオー」と気勢を上げ「川中島」に向けて出陣。場所を移して実施された川中島合戦の再現では、武田信玄との一騎打ちで白馬で駆け回りながら華麗な殺陣を披露し、観客らからは大きな拍手が起こった。終了後にはヒット曲の「マツケンサンバⅡ」に合わせ花火も打ち上げられた。
▽名刀「山鳥毛」も
謙信公祭に合わせ、上越市立歴史博物館では謙信愛用の名刀で国宝の「太刀 無銘一文字(むめいいちもんじ)(山鳥毛(さんちょうもう))」が特別展示された。山鳥毛を巡っては、2015年ごろから同市が購入を検討したものの断念した経緯があり、現在は山鳥毛が制作された岡山県瀬戸内市が所有し、年に1回程度同市で公開されている。
今回は謙信公祭100回を記念して、上越市が借りた。上越市内で展示されるのは初めてで、観覧は1組2分という時間制限があったが、約2000組の一般観覧枠は受付開始から1時間半で完売した。
長野県安曇野市から家族で山鳥毛を見に来たという塚原萌さん(33)は「他の刀にはない刃文(はもん)がとてもきれい。当時のままの刃こぼれが残っていることにテンションが上がった。戦で使われていたことに思いをはせていたら2分はあっという間だったが、グループごとに観覧できたので時間いっぱい目に焼き付けることができた」と興奮した様子だった。【戸田紗友莉】
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