児童生徒に対する教員の盗撮事件などが相次いでいることを受け、学生らが政策提言に取り組む一般社団法人日本若者協議会は25日、子どもへの性加害防止対策を求める意見書とオンライン署名を文部科学省に提出した。
名古屋市や横浜市の教員らが交流サイト(SNS)のグループチャットで女子児童に対する盗撮画像を共有していた事件の報道を受け、協議会は7月初旬に対策を求めるオンライン署名を開始。この日までに約3万5000筆が集まった。
この事件では、グループ内の教員が体液を児童の持ち物に付けたなどとして器物損壊容疑でも逮捕・起訴された。これを踏まえ、意見書は「器物損壊罪では教員の性犯罪歴を確認する日本版DBSの対象にならず、抜け穴がある」として、身体接触がない性加害についても不同意わいせつ罪を適用できるよう法改正を求めた。
このほか、急増している子ども同士の盗撮事案に学校が対応するための具体的な手引の作成や、性犯罪の予防策として、人権教育に根ざした包括的性教育の導入などを求めた。
25日は協議会のメンバーらが文科省の担当者に意見書と署名を手渡した。省内で開いた記者会見で、教員志望の玉川大1年、山岸輪清(りんぜい)さんは「学校が信頼関係を築いて教育ができる環境にないことに危機感を抱いている。教員の養成課程で包括的性教育を必須科目とすることを求めたい」と話した。
明星学園高2年の原誠さんは「他校の友人から性行為の動画が校内で拡散された事案があったと聞いてショックを受けた。被害者本人が周囲にSOSを言えない現状がある」と指摘した。
教員からの性暴力被害の当事者団体「Be Brave Japan」の石田郁子代表も同席した。「22年の教員による児童生徒性暴力防止法施行後も教員による性暴力が相次いでいる」として、施行3年後の見直しにおける児童生徒、保護者向けのアンケート実施などを要望した。
協議会は今後も署名(https://chng.it/8qtpLSxHw7)を続け、法務省などの関係省庁や各政党にも同様の意見書を提出するとしている。【西本紗保美】
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