
台湾の頼清徳政権が内憂外患に苦しんでいる。野党議員に対する大規模リコール(解職請求)投票は全て不成立に終わり、安全保障上の後ろ盾である米国との関税交渉も難航。頼政権は近く行政院(内閣に相当)の閣僚を刷新し、巻き返しを図る方針だ。
頼清徳総統は23日のリコール投票の結果判明後、「政権の足りない部分について、調整・改変しなければならない」との認識を示し、行政院に人事刷新を求めた。卓栄泰行政院長(首相に相当)は25日、週内に新閣僚の名簿を作ると述べた。台湾メディアによると、少なくとも経済部長(経済相)やデジタル発展部長らが交代する見通しだ。
24日には台北市内にある頼氏の公邸を蔡英文前総統が激励に訪れた。頼氏はフェイスブックへの投稿でリコール投票に言及し、「民主主義の価値とは、異なる声に耳を傾け、より多くの共通認識を形成することにある」との認識で蔡氏と一致したと明かした。
蔡氏から政権を引き継いだ頼氏は、まさに「異なる声」とどう向き合うか苦慮している。民進党は立法院(国会に相当)で少数与党に転落し、最大野党・国民党の主導で防衛費を含む重要予算が一時凍結・削減された。頼氏が野党に協調を呼びかける場面も何度かあったが、野党側は強硬な姿勢を崩していない。
こうした中で持ち上がったのが、国民党の立法委員計31人に対する大規模リコール運動だった。…
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