NHK中国語ラジオ問題で再発防止策 AI導入、外部契約管理も強化

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NHK放送センター=東京都渋谷区で2022年2月22日、稲垣衆史撮影 拡大
NHK放送センター=東京都渋谷区で2022年2月22日、稲垣衆史撮影

 NHKは30日、昨年8月に発生したラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国人スタッフが不適切な発言をした問題で、再発防止策の取り組み状況を発表した。今年度から中国語ニュースを全て人工知能(AI)音声による読み上げに切り替えたとし、ラジオ国際放送の翻訳やアナウンス業務を委託する外部スタッフとの契約について、今年11月から関連団体「NHKグローバルメディアサービス」を介さずに、国際放送局が直接結ぶように変更するとし、管理体制を強化しているなどとした。

 NHKでは、昨年8月19日に生放送された中国語ニュースで、原稿を読んでいた中国籍の外部スタッフ男性が、沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土」と述べるなど、ニュース原稿にはない不適切な発言を続けた。この問題を受け、昨年9月にNHKは、稲葉延雄会長ら役員が報酬の一部を返納し、担当理事が辞任することや、再発防止策などを発表した。総務省はNHKに注意の行政指導をした。

 NHKは今回、昨秋に発表した再発防止策に基づく進捗(しんちょく)状況などを説明。英語を除く16言語の外国語ニュースを事前収録に切り替えたとした。全ての中国語ニュースをAI音声に切り替えて毎日放送していることなども発表。朝鮮語も週1回程度、AI音声にしており、段階的に回数を増やすとした。

 NHKは昨年9月、中国人スタッフに対して1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に提起。今年9月に判決が出る予定と説明した。刑事告訴については、民事の結果を踏まえて対応を決めるとした。スタッフは出国済みで、この間、連絡は取れていないという。

 NHKは「今後も国際放送における改革を間断なく進め『日本の視座』を発信していく」などと強調した。稲葉会長は30日の定例記者会見で「問題が起きて(もうすぐ)1年がたつ。この間、再発防止に全力で取り組んできた。同じような事案が再発することはおよそ考えられない状況になったことを今月の経営委員会で報告した」と述べた。【井上知大】

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