警察庁は28日、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)に関する情報を、2026年度から生成AI(人工知能)を活用して分析する方針を明らかにした。これまでに摘発した容疑者らの情報を解析して相関図を作成し、首謀者の特定に生かす。26年度予算の概算要求に関連経費約2億7000万円を計上した。
警察庁によると、現在は全国の警察が作成した膨大な捜査報告書などを捜査員が分析。生成AIを導入することで、迅速に漏れなく分析できるという。
関係者の相関図や分析リポートの作成が可能で、10月に警察庁に新設される「トクリュウ情報分析室」で活用する予定。分析結果は、警視庁に設置される「トクリュウ対策本部」などに提供して捜査に利用する。
また、特殊詐欺や交流サイト(SNS)を通じた投資詐欺などの対策も進める。捜査に欠かせないSNSの利用者情報や通信記録について、諸外国の捜査機関がどのような法的手続きで、海外に所在するSNSの運営事業者から得ているのかを調査する。
このほか、国の基幹インフラをサイバー攻撃から守る「能動的サイバー防御」が26年秋に導入されることを踏まえ、攻撃元のサーバーの無害化を図る手法の開発などの費用に約11億3000万円、施設や機器の整備費用に約3億4000万円を盛り込んだ。【山崎征克】
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