第70回全国高校軟式野球選手権大会(28日・明石トーカロ)
○あべの翔学3―2早大学院●
延長タイブレークの十回1死満塁。あべの翔学の北風夢成(ゆうせい)が打席に立つと、ベンチからはエンドランのサインが出た。
早大学院バッテリーは仕掛けを警戒して外角に外し続け、5球目もストライクからボール3、4個分ほど離れたゾーンに。北風は「(相手が)投げた瞬間、やばいと思った」が、「もう当てるだけだ」と体勢を崩しながらもなんとかバットで捉えた。
フライの打球は右前に落ち、適時打に。「うれしいというより、落ちてくれて良かった」と北風。結局この1点を守り切り、要泰樹監督は「みんながつないでくれた結果が、あの打席で全て出た」と決勝打をたたえた。
北風は一塁手のレギュラーとして大阪大会に出場していたが、今大会の2週間ほど前に左手を疲労骨折。当初は代わりの1年生が出場選手に登録されていたが、北風は開幕直前の選手変更でメンバー復帰にこぎつけた。
左手にテーピングをしながらのプレーが続くも、「メンバーに入ったからには結果を残しつつ、優勝できるようにこれまでやってきた」。手負いのガッツマンの活躍により、あべの翔学は2022年大会の決勝で敗れた中京と、同じ舞台で再び相まみえる。【吉川雄飛】
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