第96回都市対抗野球大会1回戦(28日・東京ドーム)
大阪市・NTT西日本―横浜市・三菱重工East
前回王者の横浜市は、序盤で目を奪われるような守備の好プレーが続いた。
まずは二回だ。大阪市の5番・浜田竜之祐の放った打球は左翼スタンドに向かって大きく伸びた。横浜市の左翼・江越海地がフェンスに直撃しながらジャンプしてつかみとった。
地面にたたきつけられるように着地した瞬間に頭を強打したが、グラブでつかんだボールだけは離さなかった。しかし、江越はしばらく起き上がれない。担架で運ばれて途中交代となった。
江越の負傷交代で騒然とした空気となった後だった。続く大阪市の6番・中村篤人の中堅右に抜けようかという打球を、今度は横浜市の中堅手・武田健吾が走りながらスライディングで好捕した。抜ければ長打となった打球だっただけに、立て続けのビッグプレーだった。
チームは2021年に三菱重工グループの再編で結成された。佐伯功監督が「選手から認められ、信頼される人間性がある」と、初代主将を託したのが江越だった。
「それぞれ異なる歴史や伝統、文化があり、バラバラだった」(江越)というチームを試行錯誤しながらまとめ上げ、21年の日本選手権では準優勝した。主将を外れた後も、高い身体能力を生かして走攻守でチームを支えてきた。
武田もプロ野球・オリックス、中日でプレーした後、22年に加入し、すぐにチームになじんだ。攻守で活躍してきた一人で、「いい年のおじさんが気持ちを出してプレーする。僕はそういう社会人野球が好き」と言う。
前回王者らしく、1球に懸ける執念がつまったプレーだった。【円谷美晶】
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