第96回都市対抗野球大会(28日・東京ドーム)
横浜市・三菱重工East―大阪市・NTT西日本
適度に荒れる球質を生かしながら面白いように打ち取る。前回大会で橋戸賞(最優秀選手賞)を獲得した横浜市の先発左腕・本間大暉投手。貫禄十分の投球を見せた。
一回は先頭打者に安打を浴びると、さらに盗塁を許したり、死球を与えたりしてリズムに乗れず1死一、二塁のピンチを背負った。
大阪市の4番・山田峻士とのいきなりの大勝負を迎えた。
横浜市の本間は、球威ある直球と手元でわずかに曲がる速球を次々と投げ込む。ファウルで粘られての10球目、外角低めの129キロの速球で遊ゴロ併殺に打ち取り、窮地をしのいだ。
二回以降も走者は出すものの、そこからの粘りは圧巻だった。五回を終えて球数が102球までいき、六回以降は中継ぎ投手にマウンドを譲った。独特の緊張感漂う開幕試合で先発し5回3安打無失点。さすがエースの仕事っぷりだった。
昨年は橋戸賞の活躍でチームの都市対抗初優勝に貢献した。さらに社会人の年間表彰でも最優秀防御率賞とベストナインをダブル受賞した。
向上心は尽きない。「優勝も橋戸賞も昨年の結果で今年は今年」。さらなる進化のため、今季はトレーニング量を増やして体力強化に励んだ。
「2次予選がない(前回大会優勝のため免除)ので、きついことをしようと思った」と、夏場は多い日で1日20キロ弱の走り込みを行い、心身を鍛えた。
「予選って正直苦しい。それを乗り越えたチームと何もしないで戦うのは気持ちの面で負けてしまう」
再び東京ドームのマウンドでエースとしての気概を見せた。【角田直哉】
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