/144 辻村深月 画 佐伯佳美

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 凌生が言う。

「オレに貸したくない気持ちも、まあわかるけど」

『鹿島さん』

 山本の声が、また一段、静かになった。

『お引っ越し先の家は、必ずどこか、私たちでご提案できるようにします。お約束します。しかし、それと別に、鹿島さん、一度――』

「わかったよ。精々どっか探してみてよ。見つかんなかったら、あんたのところの会社で、どっか物件空けてよ。高級すぎてオレじゃ住めないかもしれないけど。じゃ」

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