旧日本陸軍が創設した秘密機関「731部隊」をテーマとした中国の映画「731」が、公開予定日の7月31日となっても中国で上映が始まっていない。映画チケットの販売アプリでは、公開予定の日付が削除され、チケットが購入できなくなっている。
部隊は戦時中、旧満州(現中国東北部)を拠点に細菌兵器の研究や使用、中国人捕虜らへの人体実験を行ったとされる。
中国内では予告編の過激な描写にショックを受ける視聴者が出ており、インターネット上では「残酷な描写のため公開延期になった」との声があった。反日感情の高まりを避けるため、一時的に上映が延期されているとの見方もある。
中国メディアによると、同月29日、映画の新しいポスターが発表されたが、公開日を示す「20250731」の日付が消えていた。スケジュールについて、製作会社と宣伝会社は「全ては公式発表の情報に準じる」と回答したという。中国の交流サイト(SNS)「微博(ウェイボー)」上の731の公式アカウントは、7月7日を最後に更新が止まったままだ。
映画は中国東北部・吉林省出身の趙林山氏が監督を務めた。中国メディアは「一人の小さな人物の紆余(うよ)曲折する運命を通じ、731部隊が戦時中に中国で行った大罪を暴き、死を恐れずに戦う中国人民の物語を描いている」などと解説している。【北京・畠山哲郎】
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